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2022.04.14 ブログ
前回、認知症患者さんのお口が健常者と比べてどのようになっていくかを書きました。
今回は、歯科診療をする上でどのようにして認知症患者さんに接していくべきかまとめてみます。
ポイントは、下記の点であると考えます。
1 歯の定期的な口腔ケアを続け、認知症患者さんとの関わりを途切れないようにすること
認知症患者さんであっても、定期的に口腔ケアを続けていればいつも来ている人がいつも通りのことをしているとなり、だんだん人にも行為にも慣れていきます。
お口のトラブル予防のための口腔ケアは勿論、主目的ですが、治療になることも考えて、事前に患者さんとの人間関係を構築していくと言う点でも定期的に口腔ケアを続けることはとても重要です。
2 患者さんとの信頼関係を築き、お互いの言いたいことを伝えあうこと
人間関係を築くために他愛のない話や相手の興味のある話を聞いたりすることは認知症の患者さんに関わらず大事なことです。
また、医療従事者にありがちな善かれと思ってこちらの意見を押しつける行為は信頼関係を壊す原因になります。
3 急かさないこと。本人のペースを尊重し、イライラしない環境づくりをすること
医療従事者のペースではなく患者さんのペースに合わせて診療していくことが大事です。
4 笑顔で接すること
5 声かけは正面から目線の高さを合わせて1人で話しかけること
車椅子に乗っている場合や椅子に腰掛けている場合の口腔ケアも同じ目線を保ちながら口腔ケアをしていきます。
6 被害妄想(義歯を盗まれた、など)への対応は否定せずに、共感してあげること
7 感情のコントロールができず、暴力をふるう方への対応は同じ力で返すのではなく、その場を一旦離れ、冷静になってから、穏やかに対応すること
8 服薬拒否や治療拒否への対応は、医師が処方した薬の写真やメモを書いて本人にあげることで改善することもあります。
ただし、認知症患者さんの体調は日々変化します。認知症患者さんの主治医、ケアマネージャー、介護福祉士等と連携し、患者さん本人の体調、精神状態に合わせながら歯科治療を進めることがとても大事です。
認知症患者の自立を助けるために
些細なことでも早期に発見すれば、認知症患者の自立を支援する機会も広げることができます。
例えば、急激にプラークコントロールが悪化したり、虫歯・歯周病が増えたなどの口腔内の変化や、会計や予約時の不安な様子、頻回の予約間違い、診療室内での挙動やユニットの移乗・うがいをする場面でのたどたどしさ、診療に対する不安を話してくるなどがサインとなってきます。
口腔内に変化がなくても、行動から早期発見できることもあります。歯科医師・歯科衛生士・歯科助手が定期的に来院される患者さんの些細な違和感を感じとることもとても重要だと考えています。
今後も当医院 歯科では様々な職種の方々と連携しながら地域のかかりつけ歯科医として患者さんに貢献していこうと考えています。